あの子の人形
「志歩?大丈夫?」
すると、誰かが私に声をかけてくれた。
顔を上げると、目の前に七菜と加絵がいた。
「七菜、加絵……」
探しに来てくれたみたいだ。
心配そうな顔をして私を見つめる。
「……本当、ムカつく。何であんな子なんかに」
思っていること、二人に吐き出した。
「……そうだよね。志歩は拓巳くんに振り向いてもらおうとアピールしてたのに。あいつは特に何もしてなかったもんね」
七菜は優しく私の背中をさすり、慰めてくれた。
「……もしかして、あいつ、何か拓巳くんの弱みでも握ってるんじゃない?」
加絵がぽつりとそんなことを呟く。
「そうかも。じゃなきゃ、おかしいもんね」
七菜も加絵の言葉に賛同し、頷いた。