あの子の人形
「ごめん!水瀬さん、待たせちゃって」
ガラガラッ。
ドアを開けて入ってきたのは村上くん。
「え、ううん。……大丈夫だよ」
誰もいない空き教室に村上くんと二人きり。
緊張して上手く村上くんの顔が見られない。
「それで話って何かな?」
村上くんはにこっと私に微笑みかける。
私は意を決して口を開く。
「あ、あの!村上拓巳くん!!……私、実はあなたのことが好きなんです!!」
い、言えた……!!
村上くんはどう思ってくれたんだろう?
聞くのが怖い。
「水瀬さ……」
「急にごめんね!村上くん、他に好きな人いるんだよね?神田さんだよね?」
フラれるのが怖くて村上くんの言葉を遮ってしまった。