あの子の人形
「嬉しくて……。だって、まさか村上くんと付き合えるなんて思ってなかったんだもん。本当に夢みたいで……」
「……ねぇ、その村上くんって呼び方止めない?付き合ってるんだし、下の名前で呼んでよ」
し、下の名前で!?
……恥ずかしい。
村上くんは期待している目で私を見つめる。
「……た、拓巳くん?」
下の名前で呼んだ瞬間、拓巳くんは笑いだした。
「何で疑問形なんだよ!杏子、面白すぎ!」
い、今、ナチュラルに私の下の名前で呼んだ……!?
私の顔が熱くなる。
きっと私の顔は林檎のように真っ赤になってるんだろうな。
「じゃあ、今日からカレカノで!よろしくな、杏子」
「うん、拓巳くん」
今日から私は拓巳くんの彼女になったのだった。