あの子の人形
寝返りをうつと、枕元に置いてあった人形と目が合う。
5歳のときの誕生日プレゼントで買ってくれた人形。
私に似てるからって買ってくれた大切な人形。
この人形に私の「杏子」って名前の漢字をとって「杏」という名前を付けた。
杏にも今日のことを伝えなきゃ。
誕生日プレゼントをもらったあの日から杏に今日の出来事を話すのは日課になっていた。
「杏、今日ね……」
杏に話しかける。
今日、あったことを杏と共有したいから。