あの子の人形
「ちょっと止めてよ~」
顔を赤くして言う神田さん。
その顔はとても嫌そうには見えない。
むしろ、嬉しそうだ。
すると、拓巳くんが神田さんの腕を離れさした。
「た、拓巳……?」
まさか組んでいた腕を離されるなんて思ってなかったんだろう。
驚いた顔で拓巳くんを見つめる神田さん。
拓巳くんは私のほうに近寄ってきた。
「おはよう、杏子」
拓巳くんが私に挨拶した瞬間、周りは私たちに注目する。
みんなに注目されているなか、私は口を開く。
「お、おはよう。……た、拓巳くん」
私がそう言った瞬間、
「「えーっ!」」
驚きの声が響き渡った。