キスなんて贅沢はいらないから
「いろは・・・。」

うわあ。

言っちゃった。

私のバカ。

絶対お兄ちゃんドン引きしてるって!

「ご、ごめ・・・。」

「ありがとう!」

「え?」

急にお兄ちゃんが椅子から立ち上がり、私の方へ近づいてくる。

何、何、何?

怖くなってお兄ちゃんからぱっと目をそらした。

「いろは!俺、超嬉しい!」

小さく縮こまった私の体に、人肌がぎゅうと締め付ける。

「ちょ、ちょっと!お兄ちゃん何してるの?」

状況的に、私今お兄ちゃんに抱きつかれてる!?

「お兄ちゃんかっこいいなんて・・・。

いろははいい子に育ったなあ!大好きだよ!」

何これ。

何が起こってるのか理解しがたいけど、

どうやらお兄ちゃんは私にかっこいいと言われて気をよくしたんだと思う。

『大好き』

そんなこと言われたら私勘違いしちゃうから・・・。

恥ずかしいよ。

顔が火照る。

真っ赤な顔を見られたくなくて、私はお兄ちゃんの胸にぎゅっと顔を隠した。





< 19 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop