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「ミツジ シン……シン ミツジ……。って、三辻先輩?」
「え、何、知り合い?」
「大学の先輩だよ。つっても俺が一回生の時に三辻先輩は院の一回生で、秋学期が始まる頃には院を辞めてったからあんまり知らないけど。
何?先輩にナンパされたわけ?」
「違うよ。昨日ちょっと知り合っただけ」
「へーぇ、先輩はヨーロッパにいるんだと思ってたら、日本に帰ってきてたんだ。
先輩のご両親が先輩が院を辞める年の夏に交通事故で亡くなって、先輩院を辞めてその遺産で世界を放浪する旅に出て、今はヨーロッパで写真の個展開いたり、活躍してるって噂だったんだけどな」
「そうだったんだ。彼って変な人だよね」
「ん?あー……まー俺はあんま知んねーんだけど、先輩の送別会にたいなのに友達に誘われて顔出した時に、
先輩はカメラマンなのにカメラを一台しか持たないことで有名だったから、俺、先輩に
"これからカメラを増やす予定はないんですか?"ってきいたんだよ
そしたら
"ん?俺?ないな。俺は一生これ一つで撮り続けるよ。こいつは俺の第三の目だから。俺の生きる道を映す第三の目だから"
だってさ。
ふんっ、かっけーよな」
と言って私の先輩は苦笑した。
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