ヤンキーくんと甘い恋
校門を出た時
「あっ!奈々子さん!」
「凜ちゃん…。」
「待っていましたよ。」
凜ちゃん…今さら…
「早く別れてよ。」
凜ちゃんが冷たく言い放った。
今までの凜ちゃんからは想像できないほど冷酷な言い方だった。
「早く別れてくんなきゃ困るの。これだから庶民は物分りが悪いのよ。」
凜ちゃんは次々に言葉を並べる。
「あんた目障りなのよね。魁くんは奈々、奈々ってあんたの名前ばっかり。魁くんは私のものなのに。」
「……の…じゃ……ない……。」
「はぁ?なんですって?」
「魁斗はものじゃない!!!!!」
自分でも驚くほどの声量。
一気に張り詰めたものが弾け飛んだ感じがした。
「はぁ?あんたになにがわかるのよ!」
「なにもわからない!魁斗をもの扱いするあなたの気持ちなんてわからない!」
「あんたに私の気持ちなんてわからない…。昔から魁くんが大好きで大好きで仕方なかったのに…なんであんたみたいなやつにやすやすと取られなきゃいけないのよ!」
凜ちゃんの言葉が胸に刺さる。
「私は昔から努力して、少しでも魁くんに好かれようとして…もう私には魁くんしかいないの!!!」
「魁斗…だけ?」
「そうよ!お母様は病気で亡くなられて、お父様は仕事で多忙。魁くんだけが病弱な私の味方。」
そう…だったんだ…。
「いい?これが最後の忠告よ。別れなかったら私はあなたになにをするかわからないわよ。」
そう言って凜ちゃんは去って行った。