タイムマシン【短編】
長かった。

檻の中での生活は、私にタイムマシンの善悪を問いかけた。

作って本当に良かったのだろうか。

しかし、自分の罪を滅ぼすためにも、私はタイムマシンの研究を続けようと思った。


博士を殺してしまった今、私が開発するしかなかった。

あの日、博士を殺してしまった研究所の建設現場に向かうと、そこは高校になっていた。

博士が死んでしまった今、未来が変わったんだ。


私は、警察に出頭する前に、林の中に入って箱を埋めていた。


箱を埋めた林の中へ入り、2年半ぶりに箱を掘り返す。

タイムカプセルの中に入っているものは、大木博士のタイムマシンの研究資料だ。


「この資料でもう一度、タイムマシンを作ろう」


私はタイムマシンの資料を握りしめ、前を向いて歩き出した。


得意の競馬で資金を集め、郊外に小さな研究所を建てた。


そして、博士の資料をもとに、私はタイムマシンの研究開発を始めた。
失敗を繰り返し、やがて、最初にタイムトラベルしたものと全く同じものを作り上げた。
正直、一人でここまで完成させることができるとは思わなかった。

資料のおかげもあり、わずか3年半でそれを完成することが出来たのだ。

それは、償いという意識が私を強くさせたのかもしれない。
< 23 / 35 >

この作品をシェア

pagetop