タイムマシン【短編】
私は倒れていた郊外の空き地に、研究所を建てながら、12月が訪れるのを待った。
そして運命のクリスマスイヴ。私は美希ちゃんの家の近くをずっとパトロールしていた。
美希ちゃんは公園に自転車で向かった。
ここまではいい。
帰りに彼女は襲われる。
襲う博士を止めないといけない。
博士を殺してしまう“私”が現れる前に。
私は車を美希ちゃんが連れ去られる現場の前に止めていた。
そして、時間になり、数十メートル上空に不審な黒のバンが浮かんでいるのを見つけた。
「あれだ!」
私は車を浮かせ、黒のバンに体当たりした。
―ガッ!
「うおっ!テメェ何だよ!」
窓を開けて私に怒鳴りつけて来た若者に、私はこう言った。
「大木政宗だな。ちょっと話がある」
「なんで俺の名前を……?」
「車の修理代は払う。別の場所で話そう」
私は車を走らせ、大木博士の研究所の建設現場まで誘導した。