さよならが言えなかった【完】


「コウちゃんのっつ、ばかぁああ!」



泣きながら、大声で愚痴を零す私。




「ほんと、馬鹿だよね」




それを慰める友人。



紺野 俊介は、中学からの腐れ縁で、コウちゃんとの辛い恋を応援してくれた、唯一の理解者。




失恋を決定ずけられ、泣く私の隣りにずっといてくれる。



「どうして、」




「ん?」





「絶対あの女性より、私の方がコウちゃんの事好きなのにっ、」




コウちゃんは昨日婚姻届を出したらしい。




「結婚式、来いよ!」





結婚を報告しに来た時のコウちゃんの照れくさそうな笑顔が脳裏にうかんだ。



「たしかに、歳も9個はなれてて....勝算なんて最初からなかったけど....」




それでも、物心ついたときからコウちゃんが大好きなんだ。





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