それでも君が好きだから

「紗耶ー聞いてよー」


「何ー？」



高校二年生になって一カ月がたち、
二年生と呼ばれることにもそろそろ慣れ始めてきた。



「徹がまたデート出来ないって言うの！」



徹君というのは私の友達である安藤夏美の彼氏である。
バスケ部所属でかなり期待されているそう。



「仕方ないんじゃない？上田君期待されてるみたいだし。」

「そうだけどさー」



多分夏美も本気で怒ったりはしていない。
彼氏が期待されているのが嫌な彼女はいないと思うし。



「ねぇ紗耶？」

「見にならいかないからね。」

「そんなー」



別にバスケが嫌いとか上田君が嫌とかではない。
ただあの場所に行きたくないだけ。



「確かに紗耶は苦手そうだよね、あの場所。」



そう、バスケ部には人気者がいて、
その人に応援が凄まじいのだ。

本当にあんな応援じゃ集中できないんじゃないかと思うほど。