それでも君が好きだから
「やっと終わったー!」
「お、お疲れ様でした。」
こんなに時間が掛かるとは思わなかった。
恐るべし社会科準備室。
「かなり時間かかったな!」
「あ、そうですね…」
いつでも爽やかだなこの人。
本当に漫画のヒーローみたいな人。
「でもなんか楽しかったな!」
「え、楽しい?」
いや間違っても楽しくはない。
全然楽しくはなかったよ私は。
「だって俺、滝本と話したことなかったし、
なんとなくだけど嫌われてるんじゃないかなって思っててさ。」
眉を少しだけ下げて寂しそうに笑う。
嫌い、ではない。
少し苦手な人なだけで。
「嫌いじゃないよ、早川君のこと。」
「あ、ほんと?」
「う、うん。」
キャラとかではなくいい人みたいだし。
こんなめんどくさいこと普通なら無視して部活行くのに、ちゃんと来てくれたし。
悪い人ではないことはわかった。
「そっか、」
「うん、なんかごめん。」
そんなに態度に出ていたのかなと反省。
今度から気を付けよう。
「よかった!」
そういって早川君ははにかんだ。