悪夢の少女
昼休みの時間。
私はカバンの中からフォレシングドリームをとりだした。
あいつの方を見ると周りには女子の人だかりができている。
…これをどうやってあいつの体に貼り付ければいいんだ…?
この札にオーラをおさめるためには一瞬でも相手の体に貼らなくてはいけない。
…このままあいつに近づくのは気が引ける…
「ハァ…」
ため息をつき私は廊下に出た。
…めんどくさいが、これしか手段はない。
周りに誰もいないことを確認すると、私は呪文をとなえはじめた。
普通の人間でない私は魔法を使うことができる。
小さい頃に、両親にならったからだ。
今はもう…会えない人となってしまったけど…
呪文をとなえおわると私の体は透明になり、見えなくなった。
もう一度教室に入り、ゆっくりとあいつに近づいた。
…貼った時に気づかれなければいいのだが…
そんな願いもこめて私はあいつの腕に札を一瞬だけ貼った。
「………!?」
私の方を振り向くあいつ。
「青山くぅん?どぉしたのぉ?」
あいつの近くにいた女子が猫なで声で聞いていた。
…吐き気がする。
あいつが女子と会話しているうちに甘ったるい香水の匂いから逃げ出した。