誰も知らない物語

「着替えたら行くから先行ってて」

僕が彼女に伝えると、彼女はトタトタと軽く走っていった。

元気な様子の彼女と、夢の中の彼女とを比較する。

笑うこともなくなった。
動こうともしなかった。
虚ろな目の、人形のような彼女。

もうそんな彼女を見たくなかった。
目の前にいる元気な姿でいてほしかった。


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