誰も知らない物語
山賊達はあっという間に降参した。
…僕が刺した男以外は死んでいない。
やはり師匠は強い。卑怯な手さえ使われなきゃ負けないんだ。
「お前ら、何者だ?」
師匠はじっと相手を見て、一番軽傷の男に尋ねた。
「何故邪魔をした? この協定さえ結べば平穏が訪れる。戦わなくてもよくなるんだ。生命だって奪わなくてよくなるんだ」
師匠が睨みを効かせている姿を後ろから見ていた。
今は顔を合わせれば喧嘩、殺し合い。
協定を結べばそれも禁止される。
つまり、僕らの師匠はお互いの忍の里の平穏のために動いているのだ。
邪魔される謂れは何もない。