誰も知らない物語



「あんな簡単な任務にも失敗か! これだから落ちこぼれは!」
「この恥さらし!」
「お前みたいなのに売る食物なんてありゃしない!」

里に帰った僕らを待ち構えていたのは非難の嵐だった。

だけどそんなのどうでもよかった。

いつも守ってくれていた大切な彼がいなくなったんだ。
こんな奴らの話に心を痛める余裕もない。

何度繰り返しても慣れない、圧倒的な虚無感と哀しみ。

……きっと彼女の哀しみはもっと大きいのだろうな。


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