誰も知らない物語
「おっはよ!
……あれ? いないの?」
元気な声が聞こえる。
庭に出ていた僕は彼女に顔を見せた。
「おはよ」
目の前にいるのは元気に笑う彼女。
少し前の…彼が死ぬ前の彼女。生きた彼女。
「今日は朝早いね。何か用事?」
「ちょっと出掛けなきゃならなくて。ご飯もいらないや」
「ふーん。あ、わかってる? 今日はーー」
「わかってる。任務までには帰ってくるよ」
「…ならいいけど。なんか今日はやる気満々だね」
僕は彼女に笑顔を向け、家から出た。