誰も知らない物語
「なんか今日のご飯豪華だね」
並べられた食事を見て、彼女は喜んだ。
確かにいつもの貧相な食事とは全く違う。
「今日は記念すべきお前らの初任務だからな。少しくらい豪勢にしてやろうと思って」
「任務?」
「え、忘れたの!? 休戦協定の文を渡しに行く日じゃないの!」
彼女は興奮気味に言った。
任務の内容を聞いた瞬間、夢のことを思い出す。
夢で師匠が死んだのは確か、この任務の行き道だったな。
…まぁ夢のことだ。気にしないようにしないと。