その姿、偽りなり。
教室で授業を受けていると、さすがの私でも寒気を感じていた。


大丈夫、私ならなんとか出来る


そう言い聞かせて、やっと昼休み



教室の後ろのドアから芽衣が呼んでいた。


芽衣「翼、昼ご飯ゼリーだけ?」


「うん、なんか胃もたれしちゃったみたいで」


芽衣「嘘。気持ち悪いんでしょ?」


「アハハバレたか。」


芽衣「体調悪いなら早退しなよ。悪化するよ」


「午後までは頑張る。今日はバイトないし。」


芽衣「ねぇ、翼?

私、及川先生は信じてもいい人だと思うよ?

今までの医者とは違う。


私はひろ先生に出逢って本音を言える関係を築けた。

きっと翼だって、少しは楽になれるよ。


だから…」



「ありがと、芽衣。私、次移動教室だから戻るね。」


芽衣「あ、うん…」



今思えば、ちょっと素っ気ない態度だったかもしれない。



だけどね、芽衣。

私は楽になんかならなくてもいいんだ。

辛さもすべてこの体で背負っていくって決めたから。
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