その姿、偽りなり。
御巫さんって、ちょっと暗いイメージあったんだけど、それは俺の思い込みだったみたいだ。




実際話してみると、話しやすいし明るい性格だった。






親の件も単身赴任という理由を聞いて解決









だけど、俺は分かってなかった





彼女の気持ちを、なにひとつも。












それは唐突だった




「帰る。」





そう一言だけ告げると彼女は俺の家を飛び出し、自分の家に入っていった。




俺はそれを必死に追っかけ、玄関の中までは侵入出来たものの、彼女は自分の部屋に閉じ籠り、ドアに鍵をかけた。




なんで閉めるんだよ!




俺には聞こえる



彼女の苦しそうな息づかいが



今にも過呼吸になりかねない状況なのに







「♪~♪~♪♪♪~♪♪」





部屋の中から大音量のクラシック音楽が響いた。




そのせいで彼女の音はかき消されてしまった。






それから5分くらい経って



ようやく彼女はドアを開けた。





「いきなりごめんなさい、父に連絡入れてないこと思い出して・・・私って忘れっぽいんですよね (´ー∀ー`) 」





また嘘ついた



明らかに今の呼吸保つのに体力奪われてんじゃん。





「なんで笑ってんの?」



「あまりの自分のバカさに呆れてですよ」





「言っとくけど俺、医者だから今ので大体の状態は把握したよ。



明日病院に行こう」




俺は彼女の腕を掴んだが、一瞬にしてほどかれた




「薬飲んでないんだろ?


だったら処方してもらわないと。ついでに精密検査もした方がいい。



おそらく喘「言わないで!!」






この時の彼女の声は想像も出来ないくらい大きくて、だけど震えていた。






「自分でも分かってるから





だからお願い、離して…




私に構わないで……。」

< 6 / 15 >

この作品をシェア

pagetop