その姿、偽りなり。
なんか意外だった。


彼女と初めて会ったとき、たしかに熱はあったけど、彼女はひたすら笑顔をつくっていた


だけど、親友との会話からはそういう表情は読み取れない




本音で会話していることが、顔を見なくても分かるようだった。





はぁ~この俺との態度の差って何なんだろう




「はぁ」


「どうしたんだよ、宏?」


同時にため息ついてる奴は俺と同期の篠山 宏


その優しそうな外見から子供たちの人気を集めている


(いやいや集めてないからね ヾ(・д・`;) )


「んで、どうしてそんなしょんぼりしてんだよ?」


「これっ」


目の前に差し出されたのは1枚のカルテだった。


「これって宏の担当の橋田さんだよな?それがどうしたんだ?」


「芽衣ちゃん、最近発作の頻度が上がっててさ、すごい心配なんだけど今日の診察まさかのドタキャンされちゃって」



「そういうことか」


「一応すぐ対応出来るように前兆があったら俺のPHSにかけるように言ってあるんだけど…」


「お前もいろいろ大変そうだな。」



「まあな、ん?お前も…ってことは暁人もか?」



「う~ん、俺の場合は医師としてというよりは隣人との人間関係だな ( ̄▽ ̄)」



「そうか、お互いまだまだってことだな」




「そうだな、んじゃ、俺は帰るわ。

当直よろしく。」



「あぁお疲れさん」






今日も疲れたなぁなんて思いながら、マンションのエレベーターを降りる





「え?」


「あっ!」


俺、会ってはいけない人と遭遇してしまった気がする


「橋田さん…こんな遅くにどうしたの?

たしか今日は用事があって診察休んだんだよね?」



「あ~えーと、 (;゚∀゚)




ごめんなさい 。」


彼女は言い訳を考えていたみたいだが思い付かず謝ってきた。



「いや、別にいいけど

篠山先生が心配してたからさ。


それで、なんでこんなところにいるの?」



「実は今日、翼あっ、この部屋に住んでる御巫さんの家にお泊まりする約束してて、


だけどインターホン鳴らしても出ないから、まだどっか出掛けてるのかな?」


なるほど、そういうことか

そういえば、こないだベランダで「めい疲れた顔してる」とか言ってたな。


よくよく考えれば、橋田さんの下の名前って芽衣だった



ブーブー

芽衣「あっ、翼から電話だ。



もしもし?


そうなんだ、分かった。


大丈夫だよ、気にしないで」




「御巫さんと連絡とれた?」



芽衣「はい、だけどあと30分くらいかかるみたいです。



だから私、近くのコンビニにでも行ってくることにします。



「え?今から?」


芽衣「はい。ここで待ってるのもなんなんで」



「いや、この時間にコンビニとか危ないよ。

良かったら俺の家にあがってなよ。

御巫さんには着いたら連絡してもらうように言っといてさ」



芽衣「でも、暁人先生も仕事終わりで疲れてるんじゃないですか?悪いですよ」


「いやいや、このまま芽衣ちゃん放って外で待たせたなんて篠山先生にバレたら、それこそ俺の命が危ないからさ」



芽衣「なんですか、それ (*´ω`)

及川先生って面白いですね」



何?俺ってそんなに笑われるようなキャラなの?


なんか自分の性格が不安定になりつつある。



そんなこと考えながら彼女を家に入れた。





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