殺してあげる


「きれい。桜みたい」



加穂留の言ったことばで全身に鳥肌。



喉を鳴らし、切れている手首を浴槽の縁にこすりつける。






「キクカワ、何回言ったらわかるの」



加穂留の低い声に私の隣に立っていたキクカワがビクリと震えた。



「手首を切るときはどう切る? ワタシ、ヒャッカイくらいイッタけど?」



「…………す、す、すまん」



「怒らせないで」



「……わかった」



手に握りしめられている血のついたナイフを自分のシャツで拭き、



私の腕を……………


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