殺してあげる
気持ちが悪い。
脈打つ感覚が全身に響き、それに伴いリズミカルに血が滴る。
痛みと気持ち悪さとが混ざり、下っ腹がむずむずして尚更、焦る。
「大丈夫ですよ。眠るような感覚になりますから。痛いのは最初の切ったところだけです。あとは、大丈夫。痛くない」
ビデオを回す加穂留ほ楽しそうに私の周りを回り、手首をアップにしてり、引いて全身を撮ったりしている。
気が遠くなりそう。
このまま意識を無くしたら絶対ダメだって分かってる。
でも、そんな気持ちとはうらはらに意識は遠ざかるのを望んでいる。
いつの間にかキクカワは部屋を出ていて、どこにも姿は見えない。
肩で呼吸をする。
その度に血は流れ出る。
毒々しい真っ赤な血液。