殺してあげる

おかしい。なんか、とってもふわふわしてる。

暖かさは感じないけど、なんだかとても気持ちがいい。

自分のことを真上から見ている私がいて、湯船の中でもがいて叫んで、気をおかしくしている自分を、

不思議に思った。

湯船はピンク色からだんだん真っ赤になっていき、『わたし』がもがくたびにその腕から血が流れ落ちる。


よだれを垂れ流し、涙、鼻水を撒き散らし、縛られた脚をばたつかせている。


その度に、


確実に血液が溢れでる。


それを傍らで見ている人がふたり。




あぁ、そうか。



加穂留とキクカワだ。



いつの間にか、というか、無理矢理この場に引き戻されたキクカワが胸の前で手を組んで、顔を左右に小刻みに震わせながら何かをぶつぶつ言っている。


加穂留は楽しそうにビデオを回し、叫び狂う私を弄ぶ。








こんな地獄絵図、










望んでいない。


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