殺してあげる
『望みましたよお』
幻聴? 聞きたくもない甘ったるい加穂留の声が耳の奥にするりと入り、こだましていて、横を見れば、そこには、
誰も、誰もいない。
眼下で繰り広げられているソコにしか人はいない。
下にいる『わたし』は、泡を吹き始め、白目を剥いて痙攣し始めた。
暴れる度に赤く染まった湯は流れ、辺り一面を真っ赤に染めている。
湯の色が茶色く変色したのはきっと………
それを加穂留は楽しそうに見ていて、
大きく体を2度ほと揺さぶると、『わたし』は頭をがくりと垂れ、動かなくなった。
流れ出る血液だけはあいかわらず湯船に落ち、そこを一際赤く染めていた。
指先がまだぴくぴくと動いているから、かろうじて息はあるんだろう。
でも………