殺してあげる

右目にはワタシの腕。
左目には加穂留とキクカワが映る。

あぁ、目玉が左右で違う動きをしているんだ。


キクカワは震えながら立ち、フラフラとした足取りで三脚のようなものを準備していた。


加穂留は煙草に火をつけて灰をワタシの沈んでいる浴槽の中に落とした。



腕をくるりとひっくり返してみた。


切られたところはどうなっているんだろうって思って。



そこにはやはり赤い線が縦にすっと入っている。



でも痛くない。




視界が霞み、なにも、かんが………えられなく………なって………



ざー…………って音だけが辺りに……………響い……………





あぁ…………これ………が………で………終わりな……んだな……って、






思っ……………
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