殺してあげる
「キクカワ、ほら、最後までちゃんとやんなさいよ。
これから3週間、記録しなきゃならないんだから。
こいつがこのあとどうなるか、カメラに収めなきゃ金にならないんだよ。
震えてないで、仕事しな。
結局、テープ変えるのはあんたの仕事なんだから。
カメラににおいとかうじがつくのが嫌ならビニール被せるとか、なんとかしなよ」
「お……………おれだけ…………ここに?」
「当たり前じゃない。あたしは他にやることがあるのよ」
「や………やだ………よ」
「なに言ってんのよ、コイツが溶けて骨と皮と髪の毛だけが浴槽に沈み込む様子を映すまでが仕事なんだから。
仕事は仕事でちゃんとやりな」
「……………………」
「人間スープ。
あんたがシナリオ通りに動かなかったからこうなったのよ。
自分の失敗は自分でなんとかしなきゃ」
「……………う……………う」
「唸ってもダメ」
「…………………………」
「べつにい………………飲みたきゃ我慢しないで飲んでいいのよ。そのところもちゃあんと画に収めるのならあ、好きなようにして、いいのよお」
「それなら」
「全部はダメよ」
「わかった」