殺してあげる
寝心地は悪くない。
揺れているのは霊柩車に乗っているからだろう。
生きたまま棺に入り、腹の上で手を組んだ。
目を閉じる。
あの世界が見えるようだ。
何度も何度も何度も何度も頭の中で考えてきた。
自分の体から『魂』が抜け出る瞬間。
ゾクリとした。
一度きりだ。
たった一度きりのこと。
泣いても喚いても、一度きりしか体験できない。
ならばその最後の瞬間まで私は目を見開き現状を脳ミソに叩き込んでやる。