殺してあげる

「加穂留はキクカワさんとあまり仲良くないの?」
「……キクカワですか? 仲がいいもなにも、あれはただの仕事のパートナーです。あれを一人前にするまでは私はこの仕事から抜けられないんですよ」
「仕事?」
「っ……余計なことまで言いました。気にしないでください」


その仕事って?
もしかして、人を……?

ごくりと喉が鳴るのが分かった。

加穂留と目が合ったとき、なんとなく雰囲気が少し変わった。

きっと、加穂留も私と同じことを思っているんだろう。言わなくても、同じ波長の人が側にいて、その考え方が同じだったら、答えはするっと頭に入る。


間違いない。


私の顔をじっと見て、にやっとした加穂留に嫌な気持ちはしなかった。

だから……

もしかしたら私、新しい道を見つけたのかもしれない。




「はあ……言ってしまった以上は少しだけ話しますね。けっこう大変な仕事なんですよこれって」
「たとえば」
「すごく気を使います。これだけは言えます。寝る暇もなければ、自由な時間もない。常に被害予定者のことを考えています」
「でも、やりがいはあるんだ」
「そうですね。私にとっては、これは過程でしかなくて、重要ではないんです」
「被害予定者のことって、なにを」
「……どうやって殺すか」

ゴクリと唾を飲んだ。その仕事、私もしたい。

最終目的、着地点が加穂留には見えてるんだ。

だから、淡々としていて、冷たく見えるのかもしれない。



私……


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