殺してあげる

それに、加穂留の手に握られている黒いものは……

私の足と腕につけられている物の……



「起爆装置です」


「……そん……な」


「加穂留、アイコサマは気に入っていたのでえ、なるべく痛さや苦しさを伴わないシニカタで逝かせてあげようと思ったんです。
でも、どうやら違ったみたい。加穂留のこと傷つけたの、アイコサマが初めてで。
しかもお、加穂留の犬、殺そうとして殴ったでしょう?
もう、許せないっていうかあ……」


こいつ……


「痛さは今はもう感じませんよね? 加穂留、アイコサマをとーっても気に入っていたからあ、痛さを感じなくするお薬入れたんです。あの紅茶に。


……そんなことしなきゃよかった」





あのスイッチさえ手に入れたら……




「ですからあ、頭にきちゃったので……


いたぶっちゃおっかな」





何がいたぶっちゃおっかなだ。逃げきってやる。ここから逃げてやる。

腕に付けられている爆弾に目を落とす。

こんなもんさえなきゃ、どうとでもできる。取り外せばいいだけだ。


腕につけられたものを取り外そうとも力を入れてマジックテープを引っ張るが、いっこうに外れない。


同じように足についたものも取ろうと力をこめて引いたり回したりするが、ぜんぜん取れない。



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