殺してあげる
「そう簡単にはいきませんよ」
加穂留の声が頭に響き、はっとして目を開けた。
「やだ、何ここ」
真っ白い部屋の中。
壁に張り付けられている。
だって、目の前の壁は一面鏡。
両手両足を張り付けられている私が映っている。
でも、右足が無い。
苦しい。
息苦しい。
肩で呼吸をして、なんとか落ち着けようとしても、脳はそれを拒否していて、目玉は意思とはうらはらに左右に小刻みに揺れる。
「あり……えな」
「えるんですよぉ」
「なに……す……るの」
「んー……と、何回も言ってますけど……シッコウ?」
「やめ……」
「ません」
「これじゃ……ない」
「……ある意味すごいですね、この状況で発狂しなかったのって、アイコサマくらいです。あ、あとは……まぁ、いっか」