殺してあげる
耳をつんざくような爆音に気づいたのは、鏡に映っている自分が泣き叫んでいる様子を見たときだ。
自分の口から発せられている。
顔は血まみれでどろどろ。
鼻水によだれまで垂れ流し、醜さを露にしている。
目の前の真っ白い床にはいつまでも飛び散っている赤い水玉。
肉の塊がぼとりぼとりととめどなく落ちる。
腕が転がっていて、その上に血が落ちる。
悲鳴をあげて白目をむき、自分の意思とはうらはらに目玉は左右に小刻みに動く。
体は見たことのないほどに痙攣をしはじめた。
加穂留はビデオを回しながら口笛を吹いた。
直後、一頭の犬が尾を振りながら中に入ってきて、加穂留の足元に座る。
口の回りをべろべろ舐めながら、尾をぱたぱたと振っていた。
次に何が起こるのかなんて、そんなの考えなくても分かる。
悔しくて悔しくて悔しくて涙が出た。