殺してあげる
『加穂留』
ぬめっとしたいやらしくまとわりつく声に全身にたった鳥肌から氷のように冷たい熱が溢れだした。
「……はい」
『とても良かった』
「ありがとう……ございました」
『これは一つ提案なんだがね』
「提案」
『僕は前にキクカワ君を独り立ちさせたら君はこの仕事から解放すると約束した』
「キクカワはもう十分一人でやっていけます」
『そうだね。彼には君というストッパーがいたからこそ今までやってこれた』
「……」
『どうだろう。この続きは彼にやらせてみようと思うんだけど』
「……そ……そんなことしたらあいつらは」
『そうなるよね』
「……それが……お望み……なんですか」
『いやあ、僕じゃないんだけどね、ほら、僕にもお客がいるからさあ』
「……私にどうしろというんですか」
『賭けをしようか』
「……賭け……ですか」
『そう。君が勝ったらすぐにここから解放してあげる』
「もし、もし負けたら」
『んー、そうだなあ。あまり僕は乗り気じゃないんだけどね、ほら…………くくく。未来永劫、僕の下で働いてもらおうかな』