殺してあげる
「……私が、やるから」
『ふーん、へえ、そうなの。じゃあ、あれだね、君はここに残るってことになるんだよ。せっかく君の嫌いなココから離れられるチャンスだったのに。クククク。
それじゃあ、仕方ないからキクカワ君と一緒にここに残って僕の下で……』
「………とっとと終わらせるからそこで見ててくださいよ。それで私はココを去りますから。約束通りに」
「それは無理なお願いだよ加穂留……だって」
あの人の返事を聞かないうちに私は電話を投げ捨てた。
すぐにパソコンにメールが入った音が聞こえたけど、そんなものは無視。
メールを見なくたってきっとあいつが何を考えているのかなんて分かってることだし、こんなことも想定内。
しつこいほどにメールを送ってくるだろうけど、それだって楽しんでやっているに違いない。
あの人の考えていることはすべてこの私の頭の中に入っていることと同じなんだから。
私はあの人に二番目の人生を貰った。その代わりに私の中身はあの人そのものだ。そういうふうにあの人は私を作り上げた。
自由になれるなんて思った私が大馬鹿だ。
人のこと言ってられないってことか。結局私もあいつらも所詮同じ扱いなんだ。
あの人からは逃げられない。
それなら……