殺してあげる

気持ちを切り替えた。

いつもの仕事モードになって、顔には仕事用の笑みを浮かべた。



「ユウダイサマ、サトミサマ、アイコサマ、お目覚めになりましたか」

ユウダイサマは顔面蒼白なまま、お腹を抱えるように丸まって床に転がっていて、

サトミサマは両手首を守るように胸の前でぎゅっと組んでいる。

アイコサマは……笑いながら大の字になっている。


みんな、まだ私の問いかけには答えない。




まだ気を失っている状態だからなのか、反応はまったくない。




実はこの三人はまだ殺していない。


私が手にかけたのは一人だけ。たった一人だけ。

ソレは更正しないと思ったから、三人をここに集める前に『羽』のシニカタで早々に送ってやった。


やはりソレはおかしくて、自分が殺されながらも最期までぶつぶつと何かを唱えていた。今どこを刺されたとか、嘴が入ってくる感覚はえぐいとか、実況に近かった。


木に張り付けにされたまま、半殺しの状態で生きたまま鳥につつかれていた。


それでも実況は止めず、ひたすらにぶつぶつと唱えていた。


そのうち服が引きちぎられ、皮膚が見え、刺されたところから体の中の肉が見え、柔らかく暖かい肉に鳥の嘴が鋭く突き刺さっても尚、


それを見ながら永遠と実況しつづけていた。




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