殺してあげる

しかし、そこには誰一人いなかった。

エレベーターは1階で扉が開かれ、確実に誰かが乗っていたことだけは確かだ。

走ってきたから息が上がっているし、裸足で走ったから足が痛い。

「あいつ、一体なんなの」

しんと静まり返ったロビーは冷たい風が流れていた。

靴もはいていないので外に出ることはできず、加穂留を探すのを諦めて開いているエレベーターに乗り、4階のボタンを押した。
< 32 / 204 >

この作品をシェア

pagetop