殺してあげる
「丸? なんで丸?」
惹き付けられるように近づき外を見る。
「ぐはっ!」
おでこと両手を窓にべったりとくっつけて目をひんむいた。
「まさかの、これってまさかの」
海? 見えるもの一面が青色。
この揺れって、もしかしてこれって。
走った。
ドアのところまで走って、半ば体当たりする感じでドアにぶつかった。
頬に当たる突き刺す風。じっとりと香る潮の香り。
波しぶきが眼球にぶつかり、それを防ぐべく無意識に上下するまぶた。
開いた口に入り込むその全てを飲み込むように一度口を閉じて、海水を飲み込んだ。