殺してあげる
加穂留は白いビキニに茶色いサングラスをかけて船を操縦してる。
高校生でそんなことができるのか?
てか、そもそもそんな簡単に船って操縦できんのか?
でもだ、ビキニの女の子が片手で船を動かしてるのはなかなかそそる。
「ユウダイサマも水着に着替えたらどうですー? とーっても気持ちいいですよお」
「え、でも俺水着なんて持ってきてないし」
「ちゃーんと用意してありますよー」
「まじか」
クローゼットの中にいくつかありますから、好きなものをどーぞー。
甘ったるい声を聞きながら今来たところを戻り、涼しい船内に入りながら鏡に写った俺の顔は、にやついていて自分でも気持ち悪いと思った。
そんな俺のことを笑みの無い顔で見て、シガレットケースからタバコを一本取って口に運んだ加穂留のことなんて、
全くもって、分からなかった。
そんなことする子だなんて、思いもしなかった。