殺してあげる
「それ、捨てちゃっていいですよ」
悲しそうに笑うキクカワの顔を見たら、胸がキュンとなった。
「捨てないよ。ちゃんと食べる」
「無理しなくていいですよ。慣れてますから」
慣れてる?
加穂留?
やっぱり邪険に扱われてるんだ。
なんでそんなこと………
「あ、ほら、加穂留が飲み物買ってくるって言ってたでしょ、だから帰ってきたら…」
「あいつ、すぐには帰ってきませんよ。そういうやつですから」
「そう…なの?」
「はい」
目を伏せたキクカワは憂いに包まれ、逆に抱き締めてやりたくなる。
でも、できない。
そんなこと、したことないし。
「ひとついいですか? 自分で作ったのにあれなんですけど」
クッキーの袋を指指して、私の目をじっと見つめてきた。
「あ、じゃ、一緒に食べながら待ってようか」
「いいんですか」
「もちろん」
加穂留とは違うよ。
私はあなたにやさしくできる。