今夜、きみの手に触れさせて
「純太とニケツすんの、久しぶりだなー」
なんて、修吾がのんきな声をあげた。
確かに。
小学生のとき以来か。
あの頃――オレのチャリがパクられて、なかなか買ってもらえなかったとき、
修吾の荷台がオレの定位置だった。
オレらはいつも、どこへ行くのも、修吾の自転車に二人乗りして移動してたっけ。
修吾の背中は、いつのまにかでっかくて、
親父さんの背中みたいだ。
オレは修吾のオッちゃんが好きで、いつもついて回ってたっけ……。
おんぶも抱っこもよくしてもらった。
この広い背中によじ登って遊んでた。
『この』じゃねーか。
オッちゃん、元気かな……。
「大丈夫か、純太?」
オレんちの前でチャリが停まるまで、オレはなんと修吾の背中にベッタリもたれかかって、半分寝てた。