今夜、きみの手に触れさせて
「バ……カね、もう、あんなことしないわよ。怖がらないで……よ」
「わかってる……」
わかってるのに、体が勝手に……、
こんなにも正直に反応してしまった。
あの記憶がこんなにも体の奥深く刻まれていた。
その事実に愕然とする。
そしてその事実は、今、母親の心を容赦なくえぐっただろう……。
「ゴメン、母さん……」
床に座り込んですすり泣く母に、オレはそれしか言えなかった。
なぁ、兄ちゃん……。
オレはどうすればいい?
戻ってきて教えてくれよ。
オレじゃあムリだって、わかってんだろ?
頼むから……。