今夜、きみの手に触れさせて


あーでもない、こーでもないと脱ぎ散らかすけど、何を着てもピンと来ないのは、きっと中身の問題で……。


迷った末、サテンのリボンがついたデニムのショーパンに、パウダーブルーのノースリのブラウスにした。


こんなんでよかったのかな……?






階段をのぼり、ドアの前でスーハ―と深呼吸をする。


ピンポーン。


呼び鈴を鳴らしてみたけど応答はなかった。




でも、みんないるんだもんね?


少なくとも律ちゃんたちは、とっくに着いているから大丈夫。




いつも……開いてるんだっけ?


わたしは、この前律ちゃんがしたみたいに、そっとドアノブを回し、引いてみた。


うん、開く。




中に入って、なんだか不思議な違和感に戸惑った。


だって静かだし、みんなのクツがない、よ?




テンテンテン……と、視線を部屋に向けていくと、


目の前のキッチンには誰もいなかった。


奥は?




「おじゃましまーす……」


声をかけたけど、返事はない。


クツを脱いで、あがっていくと――


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