今夜、きみの手に触れさせて



「あ? 何人がかりだろうと、勝てばいいんだ、勝てば」


一ノ瀬がすごみをきかせる。




「そんなんで勝ってうれしいのか? オレなら恥ずかしいけどな」


修吾は絶対に一ノ瀬から目をそらさない。




「北見、オレはお前のそーゆーとこが大キライなんだ」


一ノ瀬はオレから離れ、ゆっくり立ち上がると、いきなり修吾を殴りつけた。




「正義づらしやがって」

ガツッともう一発入れる。




「どんな卑怯な手を使っても、オレは、お前に勝つっ」

さらにもう一発。




力まかせのパンチを浴びるたびに、修吾の首が思いっきり振れ、血が吹き飛ぶ。




それでも修吾は全然変わらなかった。


ギラギラ光る目で、じっと一ノ瀬をにらみつける。




「……オレに勝ったら、なんかいーことあんのか?」


「はぁ? 負けたら絶対服従だからな。クツでもなめさせてやるよ」



うすら笑いを浮かべて、一ノ瀬は言った。


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