今夜、きみの手に触れさせて
まさかの放置……。
『ゴメン』もなしかよ。
動けないんだけど、オレ。
「あ」
路地裏から見あげる狭い空。
そこにもやっぱり細い月が光っていた。
どこまでついてくんだ、月。
「見んなよ」
地べたにペシャンコにつぶされて、月に悪態をつく。
「イテーし……」
いとも簡単に、一ノ瀬にノックダウン食らって、
修吾みたいには到底なれずに、
敗北感と劣等感でペシャンコになる。
何やってんだか、まったく……。
目をつむると、なぜかあの子の顔が浮かんだ。
「イテ……」
意識が……遠のいていく……。