今夜、きみの手に触れさせて
「あ、あの、大丈夫ですか?」
…………。
ヒ、ヒェ?
矢代くん……!?
仰向けに、まるで眠っているみたいに倒れているその人は、矢代くんだった。
え、ホントかな?
暗いし、思い込みで矢代くんに見えてるだけだろうか?
ゴシゴシと目をこすってみる。
倒れている彼は、目をつぶっているから、キレイな瞳がわからない。
でも、長いまつげに高い鼻、
全部、全部、
絶対に矢代くん……。
いや、そんなこと言ってる場合じゃなくて、ケガをしてるのか、口元が切れて血が出ている。
第一なんでこんなところに倒れてるの?
「だっ、大丈夫っ? 矢代くんっ」
胸のあたりに手を置いて、ゆさゆさと揺さぶってみた。
「う……」
矢代くんの顔が苦しそうに歪む。