今夜、きみの手に触れさせて
ど、どうしよう?
痛いの? 苦しいの?
何があったの?
気を失ってるの?
あまりのことに涙が浮かんできた。
し、しっかりしなくっちゃ。
警察? 病院? いや、救急車だ。
「い、今、救急車呼ぶからねっ」
ハッ、ケータイ。
バタバタと自転車の前かごにあるカバンを取りに行き、
矢代くんの元へ戻って、しゃがみ込む。
カバンからケータイを取り出して、画面をタップした。
「きゅ、救急車、何番だっけ? 119? そ、それは火事か? えっと、同じでいいのかな?」
ひとりでパニクりながら、数字のキーに触れていく。
『1』『1』……。
指先が震える。
そのとき、わたしの腕に何かが触れた。