今夜、きみの手に触れさせて


次の瞬間――


彼の顔が傾いて、唇に温かなものが触れた。




矢代くんの唇。


初めてのキス……。













「好きになってもいいの?」


耳元でささやくように聞いたのは、矢代くんのほうだった。




コクッと、小さくうなずいたら、

なぜだか涙がこぼれたよ。




矢代くんの指がそのしずくをすくい、

不思議そうにわたしを見る。






もう涙が出ないように


そっと目を閉じて……





また、唇を重ねた――。










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