今夜、きみの手に触れさせて


ガッシャーーーン!


そのとき突然、すごい音がした。

自転車が倒れるような音。




えっと……。


頭がすぐには追いつかない。




「純太―――っ」


大声で叫びながら、修吾くんが路地に飛び込んでくる。


あ……、ホントに来た。




「よ」


わたしの肩から手を離して、矢代くんは片手を小さくヒョイっとあげた。




「ん?」


壁際でピッタリと向かい合っているわたしたちを見て、修吾くんがキョトンとする。


「何してんの、お前?」


「あー、青依ちゃんに壁ドンされてるとこ」


えっ。


「し、してないよっ」


あわててそう言ったら、矢代くんがクスッと笑った。




「いーテンポじゃん」


なーんて。


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