今夜、きみの手に触れさせて
「あ、あの、わたしひとりで帰れるから」
自転車のところでふたりに告げる。
矢代くんはもう修吾くんの自転車の後ろにまたがっていた。
「遅いから危ねーし、ついてって月島が家に入るの見届けてから帰るよ」
修吾くんがそう言ってくれる。
「な、純太」
「うん」
矢代くんはいつもの無口な彼に戻ったみたい。
「でも、ケガしてるんだし、早く帰ったほうがいいから」
「大丈夫だよ、少し寄るだけだから。な、純太」
「うん」
「月島が連絡くれてホントに助かったんだ。ありがとな」
修吾くんは爽やかに笑う。
「な、純太」
「うん」
「『うん』じゃなくて、お前もちゃんと月島に礼言えって」
修吾くんに怒られて、矢代くんはちょっとふてくされた顔をした。
「さっき、もう言ったし」